『12モンキーズ』
アメリカ(1996年)
出演:ブルース・ウィリス, マデリーン・ストー, ブラッド・ピット
監督:テリー・ギリアム
2035年。
謎のウィルスにより、全人類の約99パーセントが死滅した世界。
地下に住む人間たちはその原因を探るため、一人の囚人を過去へと送り出す。
糸口はたったひとつ、“12モンキーズ”という謎の言葉のみ。
ところがタイムマシンの故障により、囚人コール(ブルース・ウィリス)は
事件が起きる6年前、1990年に送られてしまう。
狂人扱いされたコールは、そこで精神病院に入れられ、
謎の男ジェフリーに出会うのだが……。
「未来世紀ブラジル」のT・ギリアムが、クリス・マルケルの
短編映画「ラ・ジュテ」(62)を基に作り上げたSF作品です。
現在・過去・未来を行き来きしながら展開される物語と、
様々な美しい映像に、心を奪われます。
また、この映画の魅力のひとつが、音楽。
アストル・ピアソラの「プンタ・デル・エステ組曲」を、
ポール・バックマスターが12モンキーズのテーマとしてアレンジ。
この作品の幻想的かかつ狂気じみた世界観を見事に表現しています。
90年代は、あまりいい映画がなかったと俗にいわれます。
でも、探せばけっこういい作品が転がっています。
地味だけど、監督の情熱がこもった作品。
この『12モンキーズ』も、そんな映画でしょう。
ストーリーは若干難解ではありますが、
ラストの哀しい結末は、目をみはるものがあります。
さて、音楽・映像と共に、この映画の狂気じみた世界を彩るのが、
ブラッド・ピットの怪演です。
彼の役は、主人公コールが収容された精神病院の患者。
完全に、目がイカれています。おしりも出します。
でも、かっこいいんです。
当時、ゲイリー・オールドマンとか、ウィレム・デフォーとか、
スティーヴ・ブシェミとか、ジョン・マルコヴィッチとか、
いわゆる怪優が映画界をにぎわせていました。
今やハリウッドを代表する俳優となったブラピですが、
彼もやはり、この頃は「カリフォルニア」や「トゥルーロマンス」など、
ラリった役が多かったです。
「トゥルーロマンス」のジャンキー役なんて、酷いものでしたね。
今のブラピからは、想像もつかないようなダメ人間ぶりです。
でも、当人はとっても楽しそう。
それが見ていて、だんだん愛しく思えてしまうのです。
彼はこの映画で、ゴールデングローブ賞の助演男優賞を獲得しました。
もともとジャンキーとアル中は賞レースに有利と言われていますから、
今度はぜひ、ノーマルな役で賞を獲得してほしいですね。
タイム・パラドクスが散りばめられた、摩訶不思議なSF作品『12モンキーズ』。
隠れた名作ですので、手に入れるのは難しいかもしれませんが、
機会があれば、ぜひ見てくださいね。